P系のキャブレター(2/4サイクル)について

P(ピストンバルブ)タイプのキャブレターについての補足説明です。

P系のキャブレターは全て2サイクル車専用というわけではありません。
下記の表はHONDAの標準装着モデルの一部ですがそれぞれ2サイクル車、4サイクル車、2/4共用など
単純にP=ピストンタイプのA型、B型、C型というように型式分類されているだけです。


各2サイクル専用、4サイクル専用は車両側に依存した仕様ですので一律ではありません。
特に本来2サイクル向けのキャブレターを4サイクル車に使用した場合は張り付きの問題が、またその逆
では焼き付きの問題があります。 (関連ページはこちらから)
個別の問題がクリアであれば双方メリットもあります。
実際キャブ性能的には非常に優れたモデルも多く存在しレースで活躍しています。


張り付きはアクセルが戻らず回転が上がりっぱなしになるというイメージですが実際多いのはハーフスロッ
トルからのアクセルオフで回転落ちが遅いため本来エンジンブレーキが利く場面で減速しなかったり高負
荷時の全閉から開け始めにアクセルが非常に重く少し開き始めてからいきなり軽くなるという操作しずらい
症状で、元々このタイプのキャブレターは張り付かせて空気を遮断させていますのでどこからが張り付きと
いうのかが難しいのですが強制的に戻せる強制開閉式にすることでスロットルの負担(重さ)を軽減する事
が出来ます。特にスクーターなどは万が一の時クラッチを切って回避する事が出来ないので特に注意が必
要です。


参考までに、KEIHIN(メーカー)が最も重要視しているのは、スロットルの戻り(張り付き)で、上記の
様に一つ一つの個別判断が難しいので特に2サイクル設定のキャブを4サイクルに使用することを一律不
可にしています。実際には張り付きは2スト、4ストというよりはキャブ径と排気量(負圧の力)の関係に
なりますので4サイクルでも小径キャブで排気量も少なければ1本ワイヤーでOKですし、市販車などを見る
と80年代頃から大体125ccを超える車種は2本ワイヤー(強制開閉)が標準になってきている様です。


こちらのページだけでは説明不足とは思いますが、各車種・各キャブの仕様だけでなく個別の適応が必要
(例えば2サイクル車で同一の車種に同一のキャブレターでもオイル混合か分離かで全く話が変わります)
になると考えてください。


よく2スト、4ストキャブの話で引き合いに出される例でHONDA FTR250のPJキャブが出てきますが本来2サ
イクル専用のPJを4スト用として(メーカーの市販基準に適合)販売するのなら強制開閉にしなければなら
ないというキャブレターで2スト用と4スト用の比較ができる当時FCRキャブが出る前の強制開閉、フラット
バルブ、加速ポンプ、エアーカットバルブ等を装備した高性能キャブレターでしたが、残念ながら発売当時
はFTR250が不人気だったため、その後の展開もなく廃番になりあまり知られずに消えていった今となって
は幻の純正キャブレターのうちの一つになってしまいましたが。

 PCキャブレター(小径4サイクル系) PEキャブレター (2サイクル系)

P□  HONDA車(標準装着)の一例 
PA DJ1  モトコンポ モンキーBaja    
PB  DAX モトラ リード90 Dio ジャイロUP
PC  CB50S XLR80R      
PD XR100R XR250R XLR250 Baja  AX1 ATC200X
PE CR80R MBX125F MTX200R CRM 250 ATC250R
PF NSR50/80 CRM 50/80 NS1 MBX 50  
PJ CR125R CR250R TRX250R FTR250  
   (ピックアップ車種は80年代が中心です。同一モデル名でも年式等で異なる場合があります。) 
※シリーズで表にしていますが勿論車種ごとにそれぞれ仕様は異なります。

他にもピストンタイプでHONDA以外ではPW□タイプが有名です。
(例) PWK/PWL/PWM/PWS等