2サイクル/4サイクルのキャブレターについて
当然セッティングが違うとか特性が違うとかはありますがこちらのページは主に張り付きと焼き付きに関する簡単
な説明を記載しています。(かなり大まかな説明になってしまっていることをご了承ください。)
(その1) CR-mini 22の登場とPE22のスロットル比較について
(その2) CR-mini 22とPE22のP.O(パイロットアウトレット)について
(その3) CRSのP.O(パイロットアウトレット)について
(その4) FCRのP.O(パイロットアウトレット)PS(パイロットスクリュー)について
(その5) FCR-MXで使用されているシングルワイヤー時の追加センサーについて
(その1) CR-mini 22とPE22 | ||
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CR-mini 22(4サイクル) | PE22 (2サイクル) | |
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元々このCR-mini 22が登場した背景には茂木DE耐を中心にした(主にHONDA APE系)キャブ径22mmレギュレー ション用の高性能キャブレターが存在せず、既存のPEやPDキャブレターが使用されているのが現状でした。そこ でレーシングスペックの4スト専用のキャブレターをとの要望を受け、ケーヒンが開発/販売したのがこのキャブレ ターです。 企画、開発段階でまずCRベンチュリである事と当然コスト面でもクリアしなければならないので強制開閉か1本引 きかで大きく変わります。又、強制開閉式のリンク構造はキャブ上部が大きくなり小排気量車でのスペースの確保 も重要案件でした。結果的にこの仕様で販売されたのですがこの時、張り付きに関するデータや話が色々あった ので今回の2スト4ストのページに具体(比較)例として選びました。 要点だけ抜き出すと 1、使用目的がかなり限定的である事。 2、設定排気量が100〜150位である事。 3、ベンチュリ径が22mmのみである事。 が幸いしてこの仕様になりましたが同時にケーヒンの張り付きに対する最低限の基準がCR-mini 22のスロットル の重さである事がわかりました。 画像からではわかりにくいのですが同径のPEキャブに比べかなりの荷重差です。又、スロットルバルブも重くなっ ていて自重で落ち(戻り)やすくさせています。 (同じ22mmでスロットルバルブが大きいのはCRベンチュリー中子構造の為です) 発売後、24や26は出ないのかとの声にケーヒンの安全基準で設定するとアクセル操作に支障が出る位スロットル を重くしなければならず現実的でないとのことでした。 |
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(その2) CR-mini 22とPE22のP.O(パイロットアウトレット)について | ||
CR-mini 22(4サイクル) | PE22 (2サイクル) | |
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PE22画像のように2サイクルレーシングキャブレターはスロットル全閉状態で内側にあるスロージェットからの通 路を分岐させてエンジン側に吸出し通路P.O(パイロットアウトレット)を設けています。 下画像はPWK28のジェットブロック部で赤色部がP.O通路。NJとP.Oの間の小さな穴がスローの通路です。 P.Oはスロットル全閉状態でも常にエンジンへ供給しているのがわかると思います。 |
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2サイクルは4サイクルと違いエンジンにオイルがまわっていませんのでガソリンとの混合オイルで潤滑させてい ます。 スロットル全閉時にガソリンが供給されなければ当然オイルも供給されず焼き付きにつながります。 特にロードレーサーは全閉時(アイドリングもさせない)の密閉性も性能の一つですのでP.Oは重要です。 又、2サイクルで情報がバラバラなのは、ここではレース=混合ガソリン仕様で記載していますが分離給油仕様 やアイドリングの有無、エンジンの許容範囲等で話が変わってきます。 ストリートとサーキット走行(レース含む))を同じ仕様(セッティング)で走行している場合など分離給油でアイ ドリング重視(普段かぶらないようにスロー系を薄めのセッティング)で走行スピードが上がってくると戻しや開け 始めで焼き付くリスクがあります。尚、分離給油の場合は燃調が濃いのかオイルが濃いのかの判断がわかりに くい事がありますので(オイルで濃いのをジェットで絞ってもトラブルになるだけ)気を付けてください。 ここからは逆に4ストでP.Oがあった場合ですが2ストと違い焼き付く心配等はないのでメリット/デメリットは車両 側の仕様に依存します。 敢えてデメリットを挙げるならスロットル微開及び全閉(4ストのエンブレ状態)でガソリ ンを吸い込みますので吸入負圧の量(2ストに比べ格段に大きい)によりますが混合気過量になりブレーキング 後のエンジンストールや長いエンブレ後の開け始めで濃い目に出たりすることがあります。 とにかく4ストは吸入負圧の量が格段に大きいのでスロー系のセッティングで絞りきれない場合にP.Oを埋めた りする事もありますので、中古でPEやPJ/PWK等を手に入れた方はP.Oの通路は確認したほうが良いでしょう。 4サイクル車のP.Oについては下記もご覧ください。上記のデメリットが逆にメリットとして採用されている例です。 |
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(その3) CRSのP.O(パイロットアウトレット)について | ||
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CRSキャブレターも2サイクル用は当然P.Oが有りますが4サイクルでも同じP.Oを採用している仕様があります。 小排気量車や多気筒車ではデメリットになるケースが多いので左上画像がスタンダード仕様ですが250cc以上の 単気筒車の場合、低回転/低開度からのアクセル操作でストール防止やピックアップ改善などメリットに働く事が多 いので4サイクル適合の物でも33mm以上のシングルキャブはP.Oを採用している型があります。 CRSの場合、排気量に対して割と大きめのベンチュリー径を選択することが多いですし、マウントアダプターの長さ (燃焼室までの距離)などで効果の有無が変わってしまいますのであれば良いという訳ではありません。 過去にSRX600用(単気筒ですがツインキャブなので通常はP.O無)にケーヒンでP.O有と無の仕様を実走テストしま したが筑波サーキットでは有のほうが好印象(タイム的に)だったようです。 又、上記の説明は市販車のようなアイドリングを重視した話ではありません。ロードレースではアイドリングは重視 しておらずエンジンブレーキの調整位に考えられています。 4サイクル市販車(アイドリング重視)のP.Oについては下記もご覧ください。 |
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(その4) FCR(MX)のP.O(パイロットアウトレット)PS(パイロットスクリュー)について | ||
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同じ P.O(パイロットアウトレット)でも市販車やモトクロッサーはアイドリングを無視できないのでアイドリング (パイロット系)を重視したP.Oを採用しています。名称は通路構造が異なり吐出ポート手前に流量調整用の スクリューを持ち極低開度の調整を可能としていることからPS(パイロットスクリュー)と呼ばれるのが一般的 です。 こちらは非調整式のP.Oと重複する開度域ですが狙い(目的比率)が異なります。 実際4サイクル市販車は負圧式キャブも含めパイロットスクリュー調整式が一般的ではないでしょうか。 記載することもないのですが2サイクル車にほぼPSが見られないのもP.Oの役割による違いからです。 |
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(その5) FCR-MXで使用されているシングルワイヤー時の追加センサーについて | ||
一般的なFCR-MX | レーシングバギー用FCR-MX | |
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強制開閉の話題に戻りますが4サイクルで一本ワイヤー仕様ではこのような例もあります。 公道用ではないのですがレーシングバギー系は2サイクル廃止のあおりを受けたカテゴリーでもありました。アクセ ル操作がレバー式(親指で操作)の為、強制開閉にできずアクセルも重くてはできないという固有の問題から画像 のような(アイドルストップスクリュー部分)センサーが付けられています。回転の落ちが悪い時に張り付きで物理 的に戻っていないのかそれ以外の要因なのかは非常に重要です。 |
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アイドルスクリューは通常の反対で画像のリンクレバーとスプリング間にあるセンサーは非分解場所にあります | ||
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ケーヒンが4輪レース用のCRSやFCR キャブレターの販売をやめてしまったのも(4輪に限らず一本ワイヤーでの 使用を禁止)このあたりが理由なので何かしら工夫が必要ではないかという事です。 |