ここではセッティングをするにあたり基本的なセッティング以外のことについて補足します。
(基本的なセッティングの進め方は各S/Mや専門書などをご覧下さい。)
燃料について(1) | 外的要因に左右されやすいキャブレターですが、特に使用燃料については大きく影響されます。セッティングを行う際には種類、銘柄は勿論のこと購入にいたるまで同一のものをお使いになるようお勧めいたします。(2サイクルはオイルも勿論のこと)又、このたび国土交通省から、高濃度アルコール燃料等指定以外の燃料を使用した場合、燃料漏れ、火災等が発生するおそれがあるとの発表がありました。 高濃度アルコール燃料等指定以外の燃料をご使用になりますと、本来の性能を十分発揮できないばかりか予期しない故障がおきるおそれがあります。必ず指定の燃料を給油の際にご確認のうえ、ご使用いただきますようお願い申しあげます。 |
燃料について(2) (レギュレーション変更時のRSユーザー向けの案内より、無鉛ガソリンの特徴) |
有鉛ガソリンは一般的に、対ノッキング性に優れていると認識されています、これは高い圧縮比で発生する不正燃焼を押さえる効果がある為で高性能のENGに向いたガソリンと言えます。しかし自然環境に置いては公害として問題となっており規制にいたった訳です。ここでAVガソリンと無鉛ハイオクの成分に付いて説明しても実際のセッティングに参考になりませんので重要な部分の比重に付いて説明します。 比重比較を見ますとAVガソリンは約0.7170 無鉛ハイオクは約0.7545で無鉛ハイオクは、AVガソリンに比べ約5%重くなっています、この結果ENGの負圧で吸い上げられるガソリンの量が少なくなり同じキャブセッティングでも無鉛ハイオクは薄い状態になる為、メインジェット、ジェットニードルの交換が必要となる訳です。又、燃焼状態を確認する上でピストン頭部・プラグの焼けが大きく異なり、カーボンの付着が多く従来の焼けで判断すると誤った判断となります、必ず濃い目のオーダーで走行を始め焼けを確認しセッティングを行って下さい、特に冬場(外気15°以下)は1ランクの変更でもデトネイションが多発する場合がありますので注意して下さい。 |
路面抵抗について | 路面とタイヤの摩擦抵抗は思いのほかセッティングに影響が出ます。一般的にはサーキットの路面はミューが高く(当然タイヤもそれなりにグリップも高い物を使いますので)セッティングはトルク側へ持っていく方がよい方向に行く場合が多いです。 |
チューニングデータについて(1) | 4サイクル車で旧車などを過去のデーターにもとずいてセットアップされる時など当時と同じようなチューニングの手順、部品を使用しても当時より現在の方が格段によいものが使われていますので車体全体のバランスを考えて進めませんとセッティングにも悪影響を与えます。例えば車体部品(サス、ホイール&タイヤ)の進歩により当時とはまったく限界値がことなるため、以前よりはるかにスロットルの開け幅が大きくなっており又、当然同じコース、同じコーナーにおいてもファイナルなどが違うでしょうからあまり当時のデーターにこだわらず現在の状況にあわせたセッティングを進めてください。 |
チューニングデータについて(2) | 2サイクル車では特に80年代後半から90年代はさまざまなガソリンが使われていましたので当時は各燃料にあわせたチューニングがされていましたので当時のチューニングエンジンを今のレギュレーション燃料で性能を発揮させるのはほぼ不可能ですので気をつけてください。 |
エアークリーナーについて | レース用キャブレターにあえて吸入抵抗をつけて性能を落とすことはしませんが、当然モトクロスなどではファンネルでという訳にはいきません。クリーナーボックスはエアークリーナー自体よりボックス容量や吸入口をキャブレター径に見合うものを選んでください。パワーフィルターなどはフィルター自体もさることながらその取り付け状態なども大きなポイントです。特に4サイクル車ではファンネル形状部分の有無でセッティングに影響がでます。尚、フィルター自体のメンテも重要で外観がきれいでも内部が吹き返しなどで湿っていたりしますと低回転時に空気が入りづらくなります。(国内では特に指定はありませんがアメリカなどはK&Nが指定でした) |
エンジン熱の管理 | 特に空冷エンジンなどで冷却が追いつかない時は馬力を落としてでもセッティングを冷却よりにすることもあります。レースでは始めの1,2周だけ早くても勝てませんので、10周、20周と安定して走れる方がライダーの負担が軽くなります。 |